
歩くと腰が痛くなる方へ
歩いて痛くなる腰痛の原因は、全身評価で解決‼
歩くとひどくなる腰痛と聞いてまず思い浮かべるのは「腰部脊柱管狭窄症」ですが、ここではそれとは別の歩くと痛い腰痛についてまとめます。腰部脊柱管狭窄症に関しては別でまとめますのでそちらをご覧ください。
では、ここでいう歩くと腰が痛くなるというのはどんな状態かというと、構造的に問題がなく歩き方が悪くて起こる腰痛の事です。
構造的に問題がないということは、レントゲンには映らないので原因がよく分からず、困っている方が多くおられる印象です。
病院では画像や血液検査など、構造的な問題を確実にとらえ的確に診断をしてくださいます。しかしそれらの検査を用いても機能的に問題がある場合は、なかなか改善することが難しい場合が多いのも事実です。
そしてオステオパシーの得意とするのが、画像ではとらえきれない機能的な問題を探し出す全身評価だと考えています。
オステオパシーの視点と理学療法士の視点
当院では出来る限り早く「原因」にたどり着くため、以下の流れで行っています。
初回来院時には、全身の関節の動きのチェックや姿勢のチェックで得られた運動学・解剖学的な情報と、問診で得られた情報を擦り合わせて腰痛を起こしていると思われる部分を考察します。運動学は理学療法士の得意分野であり、解剖学はオステオパシーの得意分野であります。この両方の視点を持っていることは、当院が他と比べて有意な点です。
加えて毎回の施術前には、オステオパシー独自の検査法である「傾聴」と呼ばれる技術で、全身を包んでいる組織の緊張を感じ取り、その日の施術する部分を決定します。この検査では、関節の動きや姿勢などを診ることでは検出されにくい、より細かな情報を得られることが出来ます。
初回の検査で大まかな方針を決め、それ以降の毎回の検査では身体の声を聴きながら丁寧に施術していくといった感じです。
もちろん検査の結果、腰の関節や筋肉が問題であれば、そこを中心に施術していきますのでご安心ください。
歩いて痛いのは歩き方が悪いから
歩き方が悪くて起こる腰痛には、大きく分けて以下の二つに分かれます
①蹴りだしが強すぎて腰が反る
人間が歩く時、脚は蹴りだしが強い側と、踏み出しが大きくなる側の二つに役割が分かれます。
これは全ての人がそうで、同じように蹴りだしたり踏み出しているように見えても、よく見てみると必ず多少の差は生じます。
そしてこの蹴りだしが強い側では、後方に股関節が大きく伸びていくことで、自然と同側の腰は反対よりも相対的に大きく腰が反ることとなります。
腰が反ると言っても、実際には苦しいほどの動きではなく、通常であれば全く問題ないのですが、一日に何千回も繰り返される歩行ではその小さなストレスの積み重ねにより腰の関節に痛みを生じさせます。
健康な腰部の関節であれば何ら問題のない程度のストレスですが、加齢や事故の影響や普段からのケアが不十分な状態であると、その程度のストレスでもパンクしてしまうのです。
②踏み出しが大きくて腰が突っ張る
当然のことながら脚は二本しかないため、蹴りだしが強い脚の反対側の脚は大きく前に踏み出すことを強いられます。
すると大きく踏み出した側の腰の筋肉は、反対側の腰の筋肉よりも強く引っ張られる(ストレッチされる)ことになります。ストレッチされるとその筋肉は強く収縮する性質があるため、歩くたびにその筋肉は反対側に比べて疲労していくことになります。
その結果、腰が重だるくなるような症状に悩まれるということです。
では肝心の解決策ですが、それは歩行動作を改善することです。
そのための方法としてはいくつかありますが、代表的なものとして、蹴りだし脚と踏み出し脚を入れ替える「スイッチ」を行います。
スイッチは歩行指導やインソール作成、エクササイズで行います。
当院代表は歩行改善が得意な理学療法士のため、上記のアプローチはご希望があればいつでも実施しています。
しかしこの方法では、本当の解決には至っていないのではないかと考えます。
それは、そういう歩き方になってしまった原因を突き止めることなく、歩き方そのものを変えてしまっているからです。
そういう歩き方を行っているには必ず原因があるはずです。
例えば精神的なストレスが呼吸を浅くして、横隔膜の動きが制限され、横隔膜と関係の深い大腰筋が過緊張になり股関節の動きが悪くなった。
別の例では食生活が不規則になり、消化器系と関連する脊柱の可動性に問題が出て、骨盤や下肢の動きに偏りが出た等々。
それらはあくまで仮の話ですが、そのようなバックボーンがあるのに解決せず、歩行動作のみを改善していると、別の場所にひずみが来たりすぐにリバウンドしたりするかもしれません。
①蹴りだしが強すぎて腰が反る
②踏み出しが大きすぎて腰が突っ張る
オステオパシーではこう考えます
ここでは本当の意味での解決についてお話しします。
それは簡潔に言うとその歩き方をさせている「力」を処理することです。
その力が何なのかを探し出し(この探す過程がとても難しいです)、処理することができれば、あとは放っておいても身体が自然と本来のあるべき状態(ここでは歩行)に戻っていってくれます。
オステオパシーは、本来探し出すことが難しい「力」がどこにどのように加わっているかを探すことが得意で、当院で最も力を入れている部分です。
具体的に説明すると当院では、基本的に初回は全身の検査を行っています。さらに毎回の施術も、オステオパシーの傾聴という技術を使って身体の声を聴くことから始めています。
ぼくはこの傾聴の技術こそが、オステオパシーがその他の整体とは大きく異なる点だと考えています。
傾聴では、全身を覆う膜組織などのテンションをたどることで、その時に一番お身体に影響が強いと考えられる部分をあぶりだします。時にはご本人も驚かれるような、思いもよらない部分が出てくることもあります。
ご本人が驚くような部分であるのに、第三者が分かるはずもないので、一般的な整体では見落とされがちなのでしょう。